トップページにもどる

Exchange Square(エクスチェンジ・スクエア)vol.30 2009年4月発行
特集 「企業力 ―長期安定投資につなげる知恵と技術と心」
第3回 人間力「組織づくりとリーダーシップ」より

未来を創るリーダー像 〜 新 将命 (株式会社国際ビジネスブレイン 代表取締役) 〜
夢とビジョン、伸びると信じるパッション
そして、人を引き付けるマインドを持て

経営には原理原則がある
不易流行という言葉があります。不易とは変わらないこと。いつの時代も原理
原則
は変わらないと。一方、流行は変わる。消費者の好み、政府の規制、為替相場
など外部環境の変化に適応しないといけない。守るべき原理原則と変えねばなら
ない事項。この両者を峻別し、長期の戦略をつくる。これが社長の仕事です。

ところが今のリーダーは近視眼的になっていると感じます。私は、毎週のよう
に大企業の部長や取締役を相手に講演をしていますが、その場でよく漏れ聞こえ
る言葉が「疲労感」「疲弊感」「閉塞感」です。業績が良い会社ほどよく聞く。上層部
が今期の売り上げだ、今月の利益だと急かすからです。これでは数字は上がって
も、社員の心が制度疲労を起こします。

パナソニック創業者、松下幸之助さんの有名な言葉があります。成功する会社
は、成功するようにやっている。失敗する会社は、失敗するようにやっている――。
松下さんは、成功に至る原理原則があると知っていたのです。

外資系企業では、経営者が転職します。
たとえ全く違う業種の会社へ移っても、経営の原理原則は共通だから可能なの
です。もちろん移動先の会社の属する業界動向や社内事情を半年から1年かけて
勉強しないといけませんが、原理原則を知っていればやっていけます。

再び原則の一例として経営の原則について言及してある資料の一部を引用しました。

東京証券取引所のwebページにて公開されている記事(es30-tokusyu_interview.pdf)からです。
http://www.tse.or.jp/about/books/e-square/ より


2009年12月、新将命氏は経営の原理原則を伝えるための本を出版されていますので、紹介させていただきます。(2010年3月6日追記)

経営の教科書―社長が押さえておくべき30の基礎科目


会社をつぶす社長は80%の”原理原則”を知らない。(内容紹介)

会社をつぶす社長と、伸ばす社長。両者の違いはどこにあるかご存知だろうか。

「社長の仕事」のうち、業種業界によって対処の仕方が異なるのは全体の20%程度。
残る80%は、業種業界に関係なくすべての企業経営に共通すること――すなわち、「経営の原理原則」を身につけ、実践することだ。
会社を伸ばす社長は、業績の良し悪しにかかわらず、経営の原理原則を守るという基本姿勢を忘れることは決してない。
逆に、この基本をおざなりにしている社長が率いる会社は、たとえいっとき好業績をあげようとも、やがて厳しい現実に直面してしまう。

では、その「経営の原理原則」とは何か。
そのときどきの経営環境に応じて生まれては消えていく経営キーワードを「流行」と呼ぶのなら、時代が変わっても変わらぬ経営の「不易」とは何か。
本書こそが、その問いへの回答である。


はじめに(P.3)
 (前略)

私はこれまでに社長職を三社、副社長職を一社経験し、現在ではさまざまな会社のアドバイザーを努める立場にある。
これはひとえに長年にわたり経営にたずさわってきた経験のおかげだが、いまでは企業トップに10分ほど話を聞き、
社内をざっと拝見すれば、「この会社は伸びる」「ちょっと危ない」「かなり危ない」といったことがだいたい読めるようになった。

なぜか。それは、業種業界に関係なく、企業経営の根幹の80パーセントは、ほとんどどの会社も同じだからだ。
残る20パーセントは、変動要素である商品や流通や商習慣の違いであり、これは半年から1年も勉強すれば習得できる類のものである。
だからこそ、180度違う異業種からの社長就任も、まったく問題はないのである。
重要なのは「不易」である根幹の80パーセント、すなわち「経営の原理原則」を身につけることなのだ。

目の前に課題は山ほどあるのだろう。
それに加えて経営環境に強烈な逆風でも吹こうものなら、きれいごとなどいってはいられない。
それは、数社の社長経験を持ち、いまでも数多くの企業の経営のお手伝いをしている私には痛いほどわかる。
だが、それでもなお私はいいたいのだ。
厳冬の季節だからこそ、一度立ちどまり、そもそも経営とは何か、会社をよくするための「原理原則」は何かを改めて認識するべきだ、と。

本書は、半世紀近くに及ぶ私自身のビジネス経験から導き出した「経営の原理原則」をコンパクトに集約したものである。
7つの章にまたがってお伝えする30の項目はみな、組織を率いる者であればだれしも肝に銘じておかなければならないものばかりである。
一見しただけでは、「なんだそんな当たり前のこと」「それならもう何度も聞かされてきたことだ」と感じる向きもあるかもしれない。
しかし、である。会社をつぶす社長には、実はこの「経営の原理原則」を押さえていない、という共通的な特徴があるのだ
逆に、うまくやっている会社の社長は、たとえ経営環境が厳しい折でも、いや、厳しい折だからこそ、
こうした経営の原理原則を忘れることは決してない。

きわめて厳しい状況に追い込まれ、どこから立て直すか、とためいきが出ている。
売上げや利益が伸び悩み、「何がいけないのか」「どうすればよいのか」と考えをめぐらせている。
ときに不安や恐怖に押しつぶされそうになる自分を律し、我が社を勝ち組企業に成長させたいと強く願っている―。
そんなさまざまな思い、前向きな問題意識や危機感を強く持っている経営者のあなたに、本書がなんらかのお役に立てるものと確信している。


おわりに(P.283)
とんでもない不況が世界を覆った。
経営者、とりわけ中小企業経営者の苦しみはいかほどか、と私は感じざるをえなかった。
だが、100年に一度などと危機感をあおっていられるのは、経営の現場に身を置いていない評論家や学者くらいなものだろう。
100年に一度だろうが、500年に一度だろうが、そんなことはどうでもよい。
経営者にとっての問題は、厳しさをどう乗りきるか、ということなのだ。

経営の足を引っぱる向かい風が強ければ強いほど経営者に問われるのは、本書で一貫してお話してきた「経営の原理原則」である。
それを知らずして、企業の持続的成長はありえない。
これが、長い間ビジネスの現場で飯を食ってきた私のしみじみとした実感である。
うまくいく会社というのは、うまくいくようなことを、経営者がリーダーシップを発揮してきっちりやっている会社なのである。

"買書家"をもって任ずる私は、書店に行けば、経営やリーダーシップの本が、それこそ佃煮にするほど並んでいることを知っている。
限られた見識の範疇ではあるが、なるほどお説ごもっとも、先見性に判断力など、普遍的な言葉を列挙してある本は数知れない。

だが、長年にわたり経営の現場でもがいてきた私には、それらの本では、もうひとつ腑に落ちなかった。
読んだあとに「だからどうなの?」という消化不良的な澱が心のなかに残ることも多かった。
ほとんどの経営書には現実性と納得性が希薄で、納得感と感動が残らなかった。
一方で、成功した経営者が書き下ろした本はたしかに学べることは多々あったが、普遍性に欠ける自慢話に流れるという不満が残った。

そこで、経営やリーダーシップの原理原則はきっちりと押さえていながらも、
読んで納得感があり、腑に落ちる、明日からでも使える、そんな本をつくれないものかと私はずっと考えていた。
日本の資本主義の父・渋沢栄一は「右手に論語、左手にソロバン」という有名な言葉を残しているが、
私がめざしたのは「右手にコンセプト、左手にハウツー」ともいうべき本である。
経営論について書かれた本は多々あるが、理論と実践とをバランスさせつつそれなりに体系化した「原理原則」の本は、
少数の例外を除けば皆無に近かったと思うからである。

経営の「不易」とでもいうべき原理原則はきちんと押さえつつ、一方で腑に落ちて納得できるハウツーも盛り込むよう心がけたつもりだが、
はたして経営者のあなたはどのような印象をお持ちになっただろうか。機会があれば、ぜひお聞かせいただきたい。

たとえ経営環境がこの先どのようになろうとも、経営の原理原則をコツコツと遂行したならば、
あなたの会社は健全な成長を遂げることができると私は確信している。あなたの会社のさらなる発展を、心からお祈りしたい。

 (以下略)

新将命氏のプロフィールはこちらから

コンセプト/メッセージより

株式会社という“法人”は生き物である。生き物であるからには寿命がある。「企業の寿命30年」といわれる所以である。
一寸気をゆるめると衰退、死亡を迎える運命にある会社の寿命を伸ばし、
勝ち組企業の仲間入りをするためには経営者が経営の原理・原則を自分のものにしておく必要がある。
ゴルフでも碁、将棋でもそうだが、自己流には自ずから限界がある。


・雑記

例えばですが、やる気のない人達の多いグループ(組織)は良い成果を上げられません。
これは当たり前のことですね。

能力のない人達(能力の向上を目指していない人達)が多いグループ(組織)は良い成果を上げられません。
これも当たり前のことですね。

つまり、良い成果を上げるための条件というものがいくつもあるのです。
それらの条件を全て満たしている、もしくは、その全てを満たそうと行動している人(組織)のことを原則に従っていると言えるわけです。
ここで言う経営の原理原則というのは、『絶対的に成果を上げ続けて行くための条件』を指していると考えて頂ければ分かりやすいと思います。

人は学習していくことによって、
『こういう経営』が理想的であるという『経営の原則に則った経営』というものを頭の中でイメージできるようになるわけです。

(ちなみにですが、それは全体的な組織の動きを具体的にイメージすることによって得られるものです。
 理想的な組織の動きのイメージ像によって得られるのです。あとは、その理想像と現実である実体とを比較するのです。
 理想像が分かっていれば、そこに向かって改革していくことができるというわけです。)

人間は無知な状態から生まれて来ますので、まずは原則(理想的な方法論)を見いだそうと動いて行くことが必要となってくるのです。
当然のことですが、経営の勉強をしたことのない人間が、いきなり経営の原則を用いて松下幸之助なみの才覚を発揮することはできないのです。

経営の能力というのも、大工さんや、その他の職人芸などの技能と同じです。
長年の経験や知識の積み重ねによって、少しずつ経営力を上げていくことで経営の原則を見いだせるようになっていくのです。

組織が小さなうちは一人一人を見ていることができるのですが、大きな組織になってくると一人一人に目が行き届かなくなります。
そのときに経営の原則の重要度が増してくるのです。
組織が大きくなってきますと、一人一人の考えのばらつきが大きくなりますので、そのままにしていると組織は自然とほころび始めるのです。
これらを統率するために経営の原則が必要なのです(もちろん、会社の方針を立てるときにも必須です)。


次の部分についてですが、


私はこれまでに社長職を三社、副社長職を一社経験し、現在ではさまざまな会社のアドバイザーを努める立場にある。
これはひとえに長年にわたり経営にたずさわってきた経験のおかげだが、いまでは企業トップに10分ほど話を聞き、
社内をざっと拝見すれば、「この会社は伸びる」「ちょっと危ない」「かなり危ない」といったことがだいたい読めるようになった。


新氏は、会社を全体的に眺めた場合に、組織が経営の原則に則っているか、そうでないのかを判断できるようになったということです。
そういう能力を身につけたというわけなのです。

経営の原則にどの程度則しているのかを知ることで、その会社の能力が分かってしまうのです。
逆に言えば、経営の原則を使える経営者が経営している会社は最強なのです。
組織が経営の原則に則するように改革を促していくことができるからですね。

そして、さらに強力なのは一人一人が原則を使えるようになることです(参考:一人一人が「原則」を方針にすることで発展してきた組織の例)。
私は全世界中の人達が原則を指針として使えるように、少しずつですがその普及を進めていこうと考えているのです。

現状では、"物事の根本原理"としての原則の存在に気がついている人は少なく、
原則を『世の中のあらゆるものの価値を増大させているもの』という概念にまで昇華させることのできている人は皆無と言って良いでしょう。

原則の性質を利用しなければ、意図的に価値を最大化させていくことができないのです。
原則は、『価値を最大化させるための方法論の元になるもの』とも言えるということです。
つまり、人はこの世の中から原則を見いだしていくことによって、原則を用いた思考ができるようになっていくというわけなのです。

・・・とは言っても、これまでの世の中の人の誰も知らなかったわけですから、
誰からもその存在について教わることができず、これまでは知るきっかけもなかったということです。
私自身も、その存在を自ら見いだすまでは知りませんでした。
今後は、今回発見されたこの"万能の方法論の元になるもの"を普及させていければ良いのですね。


参考文献

その1:トップ自らが範を示せ。経営の原則は業種を超えて同じだ。

その6:原則は自明的な自然の法則といえます。★★★★★

その9:あらゆる物事には原理・原則が存在し、まずはそのことを知りなさい、学びなさい★★★★